2013年8月9日金曜日

たまにはエッセイでも「目指せ北海道」<その4>

<その3の続き>

東京まで無事送ってもらい一息ついたところでヒッチハイクを再開した。
静岡あたりから何となく感じていた事なのだが、関東の人は関西の人と比べて他人に対して冷たい印象を受ける。例えば車に寄って行くだけで窓を閉められたり、話自体を聞いてくれなかったりと、どことなく他人に対して壁を作っているような気がした。
そんな中、頑張ったかいもあり乗せてくれる人が見つかり埼玉に到着。
埼玉で僕が田中の名を受け継ぐ事になる田中さんという会社員の方と出会い、車に乗せてもらった。
田中氏との車中での会話について書くとかなり長くなってしまうのでここでは田中氏との会話は省くが、彼を一言で表すなら「熱血漢」であり、「男」ではなく「漢」であった。
車中、熱い話を交わしながら栃木に到着。
栃木でもヒッチハイクに対して冷遇を受ける中、石原が「あの車に声かけよう」と言った。ふとその車を見ると『爆音ですが何か?』というステッカーが貼られている。
僕は「乗せてくれるわけないやん」と冷たく石原に言ったが、石原は「言ってみな分からんやろ!」と言ったので僕は嫌々ながら付いて行く事にした。
スモークのかかった窓に石原がノックをする。すると窓がゆっくりと開いて、そこには相川翔そっくりな兄ちゃんの姿があった。
相川翔「何?」
石原「僕たちヒッチハイクをしていまして大阪から北海道を目指しているんですが車に乗せてもらえないでしょうか?」
相川翔「マジで!?。OK!乗りなよ!お前らスゲーよ!お前らスゲーよ!」
まさかの一発OKだった。相川翔は気さくなとても良い人だった。(一応言っておくが本物の相川翔ではない。)
あと、この時僕が感じたのはどんな人でも言ってみないと分からんもんやなぁ、という事と同時に石原雄治という存在の逞しさである。(何かこの旅のエッセイを通して石原を色々な場面で逞しいと言っている気がするが、けっしてこれは石原雄治の武勇伝エッセイではない。)
相川翔に連れられて栃木から宮城に到着。
そしてここ宮城で僕たちは衝撃の男性と接触することになる。
ヒッチハイクに苦戦している僕たちにチラチラと何度もこちらに視線を送る一人の男性の姿があった。
まさかとは思ったが、あちらから声をかけられ車に乗せてもらえる事になった。
車に乗せてもらうなり「シートベルト着用と同時に発車します」と男性は言う。本当に寸分の狂い無くシートベルト着用の「カチッ」という音と同時に車は発進した。
最初、パーキングエリアから高速道路に合流するまでかなり遅い速度で徐行していたのに加え、乗る前に車の後部に初心者用の若葉ステッカーが貼ってあったのを見ていた僕はすごく丁寧な人なんだろうなぁ、と思っていたところで事態は急変する。
何と高速道路に出た瞬間からまさかのアクセル全開。一瞬で車は140kmに加速した。小さい車だったので、その速度に耐えきれず車はブレまくる。しかし彼はカーブでも一切手は緩めない。車体が浮く。冗談抜きで空飛ぶんじゃないかと思った。
彼は運転中に周りが見えていないのか、隣を走っていた車に約15cmの距離まで接近したところで「危ない!」と石原が叫んだ。石原の危機一髪の発言で事故を回避。
「もうアカン・・・。」僕は死を覚悟した。
僕はこの運転手の男性は心中する相手を探していたところに僕たちを発見して声をかけてきたんやなと感じ、生を諦めた。
後部座席に座っていた石原から「ルイ、あの雲見てみろよ。悪魔みたいな形してるで。連れて行かれそうやなぁ・・・」と言われた時は石原もまた死を覚悟したんやなと感じた。
そんなムチャな運転にも拘らず脅威の速さで宮城から何とか福島に入り、目的のパーキングエリアまでもう少しの所でヘトヘトになっている僕たちに向かって運転席のその男が言う。「次の標識に何て書いてあるか見てもらっていいですか?」。
何故彼は自分で標識を見ないんだろうと不思議に感じつつ標識を確認し、目的地まであと少しだという事を彼に伝えるとまさかの返答が帰ってきて僕たちを驚愕させた。
「実は今日メガネを忘れてしまいまして、標識等、色々と見えないんですよね。」と言ったのだ。
「嘘やろ・・・見えてないのにあのスピード出してたん・・・」
「逆に何見えてたん?」って心の底から言いたかった。
一応無事(?)に福島に到着。
人間とは不思議なもので本当に怖い思いをしたのにも拘らず、それ自体が終わってしまえば恐怖は笑いに変わるのである。
生への実感なのか、2、3時間は2人で笑い続けた。
笑い続けた結果、夜は深まり辺りから車は全くいなくなり、大変な事になってしまった。
この時はさすがにかなり焦ったのだが、奇跡的に1台の車が通りかかったので声をかけてみた。
スーツ姿で会社帰りだという男性が1人。ラッキーな事に乗せてもらえる事が出来た。
「俺も昔はヤンチャしたよぉ。」が口癖の彼。本当にどうでもいいし、どっからどうみてもそうは見えない。
まぁ、悪い人ではなかったのでちょっとした会話をしながら車は進んでいく。
目的のパーキングエリアに着いた所で、その男性が「せっかくだし飲み物くらいおごってあげるよ」と言ってくれたので車を降りて缶ジュースを3人で買いに行った。
僕はその男性と並んで会話をしながら歩いていて、その後ろを石原が着いて来る形になっていたのだが、 石原の方を見ると一生懸命に笑いを我慢しているのである。
一体何がそんなに面白いのだろうかと思いながらも、この時は特に気にしないでジュースを買ってもらい3人で飲んだ。
お礼を言った後、恒例の記念写真の撮影を終えて男性と別れた後、石原に「何がそんなに面白かったん?」と聞いてみた。
「写真見てみ。」とデジカメでついさっき撮影した写真の画像を見てみるとそこには信じられない光景が!
僕は男性の隣で顔を見ながら話をしていたので気付かなかったのだが、今までこの世で見た事ないくらい運転手の男性のズボンが上がっているのだ。それに加え、ネクタイも完全にズボンにinされている。
伝えるのが難しいのだが、上半身と下半身の割合が3対7くらいの割合と言ったら分かってもらえるだろうか。もちろん3の方が上半身である。ズボンはもうMAXを超えて上がりまくっている。
どうでもいい事だが、股間は苦しくないのだろうか、そんで昔悪かったとか絶対嘘やろって改めて思った。
そんなこんなでこの旅には珍しくまともなカップルや右翼に物資を流しているという謎の八百屋の兄ちゃんなどに乗せてもらい青森に到着した。
夜中だったので青森から北海道までの船が出るまで休憩をとり、朝一番の船に乗り込みついに念願の北海道は函館に到着した。


<その5>に続く。

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